体験談@
  
          
 

私が山に登るようになった直接のきっかけは、10年ほど前に一度だけつれていってもらった奥秩父・甲武信岳への登山です。
 
東北の秋田出身とはいえ、山らしい山のない海辺の町で生まれ育ったせいもあり、なかなか印象の強いできごとでした。西沢渓谷から登りましたが、コースは戸渡尾根ではなく鶏冠尾根だったようです。水の流れが遥か下に見える吊橋を渡り、鬱蒼とした森で倒木を跨ぎ、くずれた山道に掛けられた丸太を渡ったりして、ようやくたどり着いた山頂からの眺望。下山時には、道に迷いかけたり、雨が降ってきたため大急ぎで下ったりと、私にとっては、けっこう大変な登山でした。

そして、初めての山行は普段の生活にはないような緊張感や、達成感や、充実感を味わせてくれ、こんどは自分の力だけで登ってみたいという気持ちにさせてくれました。
しかし、なかなか機会をもてずにいましたが、ようやく2年ほどまえから、友人にさそわれ、奥多摩浅間嶺、丹沢大山とワンデーハイクを重ねました。自然の中を、おもいきり歩くのは楽しいことでしたが、何か自分の求めているものと違いました。

そのうちに季節は冬に入り、雪国育ちの私は何の抵抗感も無く、雪の丹沢主脈縦走や、雲取山へと山歩きを続けました。気温の低さ、冷たい風、そして積雪といった自然環境の厳しさが、雪山へと私の目をむけさせてくれました。
雪山の厳しさに触れる緊張感、それを克服しようとする努力の中で得られる充実感、山行を終えた後の達成感と、どれも私にとって山登りに対する興味を大きく膨らませてくれました。

雪山を目指すことで、いろいろな登山の技術や知識の必要性を知り、雪山に登りたいがために、体力的な基礎もつくりました。

私にとってきっかけは、雪山のようです。

                    (K・T 33歳  山歴1年8カ月 事務員)

登山の世界がよーくわかる-常識とあれこれ-へ戻る

inserted by FC2 system